経済学部の教育目標は、本学の建学の精神である「行学一体・報恩感謝」に基づいて、経済学の基礎的および専門的な知識を幅広く学び、その実践的応用によって現代経済の実態と新しい課題を自らの力で分析し、その本質を適確に把握し、課題解決のための適切な方法を構想しうる学問的基礎を備えた社会人を養成するとともに、それを通じて人間的共感と社会的公正を基礎とする豊かな経済社会の実現に寄与しうる社会人を育成することにあります。
経済学部は、その教育を通じて具体的には次のような社会人の養成を目指します。
○現代の経済活動の仕組みと趨勢を理解し、経済環境の変化を読み取り、経済政策の内容と意味を深く読み解いて将来の経済社会の方向性を見通すことができる「経済政策に強い社会人」
○マクロな経済環境の中における中部圏経済の特性や位置づけに関する高い分析力を有し、地域経済をグローバルな視野から捉えて、新たな状況に柔軟に対応して問題解決に貢献できる「グローカルなビジネスパーソン」
経済学部に所定の期間在学し、経済学部が定める科目分野ごとに卒業要件単位数をすべて満たし、教養教育科目、専門教育科目及びキャリア教育科目について所定の単位を修得するなかで以下の知識、能力を身につけた学生に対して、学士(経済学)の学位を授与します。
(1)豊かな教養と汎用的基礎学力を身に付けている。
(基礎的学士力:教養力、文化的理解力、理論的基礎力、語学的コミュニケーション能力、数量的理解力、ICT処理能力)
(2)幅広い経済学的知識を基盤として課題を発見し、学びの道筋を構想することができる。
(基盤的学士力:問題発見力、論理的思考力)
(3)経済学の多面的な知見と多角的な分析方法を用いて課題解決を導くことができる。
(発展的学士力:応用的分析力、協働的実践力、問題解決力)
(4)学びの成果の実践的な応用と総合的な活用によって経済社会の在り方を構想することができる。
(総合的学士力:実践的応用力、倫理的判断力、総合的構想力、生涯学習力)
(5)将来の進路に向けて計画的にキャリア形成を実践することができる。
(実践的学士力:基礎的キャリア形成力、社会人基礎力、応用的キャリア形成力)
経済学部は、ディプロマ・ポリシーに掲げた教育目標を達成するために、以下の方針にもとづいてカリキュラムを編成し、これを実施します。
1.編成方針
(1) 幅広い教養の修得を目指す教養教育カリキュラム
専門教育に不可欠な広い視野と学問領域にとらわれない広範な教養、豊かな人間性の涵養を目的として、以下のカリキュラムにもとづいて教養教育を展開します。
① 宗教学:本学の「建学の精神」の理解と実践のための必修科目
② 教養基幹科目:学びの方法の修得を目的とした初年次の「教養セミナー」および人文系、社会系、自然系、主題系からなる科目
③ 外国語科目・海外事情科目:語学を通じて異文化への理解を深め、国際的に活躍するために必要な教養を修得することを目的とする科目
④ 健康総合科学科目:各種スポーツの理論の修得と実践をとおして健康の自己管理能力を養う科目
(2) 体系性を重視した専門教育カリキュラム
ディプロマ・ポリシーに掲げられた学士力の修得に向けて、体系的に編成されたカリキュラムにもとづいて専門教育を展開します。具体的には、以下のように専門教育科目を基礎科目、基幹科目、発展科目の三群に区分し、それぞれの目的と性格を明確に位置づけています。
① 基礎科目:汎用的基礎学力と経済学の理論的基礎を培う科目
② 基幹科目:経済の諸課題の発見を可能とし、専門分野の学びへの導入を図る基幹的な科目
③ 発展科目:多層的な視点からの応用的および実践的な学びをとおして学びの総合へ導く科目
(3) 実践的なキャリア形成を支援するキャリア教育カリキュラム
就職に向けたキャリア形成の支援を目的として、キャリア教育科目を開講します。キャリア教育科目を履修することによって、希望する職業に就くための知見やキャリア・スキルを修得できるだけなく、大学4年間の学びを将来の進路選択に向けて、いかに目的意識的かつ計画的に進めていくべきかについて、自ら考える機会をもつことができます。自己分析によって自らの個性、価値観、職業適性などについて理解を深め、他者と対話し、協働し、自己を表現する力を身につけることによって、キャリア形成の基礎力を修得します。さらに、実践的な社会人基礎力を磨くとともに、企業活動の最前線を見聞し、職業世界の多様性に接し、実際に就業を体験することによって、将来の進路を主体的に選択できる力を養うことができます。
2.実施方針
(1) 順次性を考慮した授業の実施
専門教育科目の3つの科目群を、以下のように基礎、応用、実践、総合の4段階に分けて、専門分野の学びの成果を段階的に積み上げながら獲得できる、順次性を考慮した授業を実施します。
①【基礎】:経済理論の基礎に学ぶ中で、経済の諸問題にアプローチするための基本的な考察を行い、経済学的な思考を身につけます。また、実践的な英語力や数学的な分析手法、データ収集と情報処理の技法など、経済学の基盤となるスキルを修得します。
②【応用】:基礎レベルで学んだ知識を基盤として経済学の専門分野を学ぶ中で、探求すべき問題を発見し、それぞれの専門分野に関する論理的思考力、応用的分析力を身につけ、現代経済の理解を深めます。
③【実践】:基礎から応用へと段階的に積み重ねて得た経済学的知見を、企業や行政の実務とのフィードバックによって検証するとともに、さまざまな経済活動を体験的に学ぶ中で実践的応用力を磨きます。
④【総合】:専門演習の場において文献講読、プレゼンテーション、討論などを通じて専門研究を深め、4年間の仕上げとして卒業論文をまとめます。課題設定、資料収集、仮説検証、結論導出という論文作成過程の中で問題解決力と総合的構想力を培います。
(2) 進路別コア履修モデルの設定
経済学部では、卒業後の進路を視野に入れて計画的に履修を進めることができるように、進路別にコアとなる授業科目を選別した履修モデルを設けています。学生は、この進路別コア履修モデルを指針として、将来の進路にとって重要である科目分野を重点的かつ体系的に履修することができます。
進路別コア履修モデルは、とくに以下の5分野への進路について設定されています。
① 企業の中心的部門において、経済学の各領域をバランスよく熟知し、経済事象と経済政策を正しく解析する能力をもち、企業戦略の立案や展開に能動的に取り組むことができるビジネスパーソン
② 国あるいは地方公共団体において、経済社会に方向性を与えるべく経済政策を立案し、執行する公務員
③ 地域社会の福祉、医療、環境などの分野において、将来の社会の在り方に関する明確な構想力をもって実践活動に従事し、地域社会の発展をリードできる職業人
④ 金融政策、金融システム、地域金融の役割を正しく理解し、地域の経済状況と地域特性を把握して、その活性化に資する金融業務を遂行できる金融ビジネスパーソン
⑤ 民間の調査研究機関において、専門的な立場から内外の経済を調査・分析し、具体的な政策提言を行うことができる専門的調査研究員
経済学部は、以下のような学力、関心、目的意識をもった学生を受け入れる方針です。
○ 高等学校等で外国語、数学、国語、理科、地理歴史・公民を学習し、経済学を学ぶための基礎的な学力を有している人
○ 国内外の経済や社会の問題に幅広い関心を持っている人
○ 経済の仕組みを学んで経済政策の意味内容を理解できるようになりたい人
○ グローバルな視野から地域経済の発展を担うビジネスパーソンを目指す人
○ 経済学的思考と方法を修得して新しい経済社会の在り方を追求したい人
○ 豊かな人間性を育んで社会貢献のできる場で活躍したい人