経済学部で培った知識は、ビジネスの現場でこう使える―そんな学びの羅針盤となる講義をめざします。題材として取り上げるのは、今、世の中で起こっている出来事。日本や世界の経済に関する知識がニュースを深く読み解く「分析ツール」になることを体感し、経済学を追究する意義を感じてほしいと期待しています。そして学生が積極的に質問し、議論を重ね、気づきや学びを共有できる実りの多い時間にします。
財務官僚として30年余、財務省、金融庁、外務省、国土交通省、内閣府等で政策の立案と執行に携わってきました。現在の我が国経済は、世界的な好環境に加え、金融緩和と財政支出に支えられ、長期の景気拡大が続いておりますが、超金融緩和の弊害と財政・社会保障の持続可能性が危惧されています。財政金融中心に我が国経済の直面する課題とその対応策について、一方通行ではない一緒に考え議論する講義を進めていくことにしております。ビジネスにおいても役立つフィナンシャルリテラシーを養成することを目指します。
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長くも短い人生のなかで青春期の4年間の大学生活はかけがえのないものです。その与えられた豊かな時間の中で、これまで継承されてきた知の遺産を学び取り、現代の人間や社会をしっかりと観察し、これからの社会の在り方や自らの生きる根拠について思索を深めてください。自分の秘めた可能性を信じて、志を高く掲げて、人生に真摯に向き合う姿勢を忘れなければ、必ずや確かな未来が拓かれることでしょう。
環境経済学は、経済学の視点から環境問題を分析する学問であり、環境保全と経済活動の両立を目標としています。今の世界は、かつてないほど持続可能な発展に関心が高まり、技術的にも、社会的にも様々な分野で大きく変革する時期です。大学の生活はとても自由で、幅広く勉強することはできます。勉学を通じて自身の視野を広げて、この変革の時期において自分の進めたい方向をぜひ探し出してください。
どうぞご自由に、というと何だか無責任に聞こえるかもしれませんが、経済の原点と同様に大学生活の原点も「自ら選び決めること」にあると思います。しかし、人生の大事な局面において選択肢はそう易々と現れません。関心を専攻で縛ることなく幅広く知性を磨き、他者を尊重し、思い込みを脱していく過程で、納得のいく選択肢を自らの手で作り上げて欲しいと思います。日常と自己を見つめ、遊びも学びに高めうる。皆さんにとって大学がそのような場所となることを願ってやみません。
大学はとても自由な場所なので、勉強だけでなくクラブやサークル活動など、楽しもうと思えばいくらでも楽しめる場所です。
しかし、大学が大学である理由は学問があるからです。他の活動は大学でなくてもできます。大学を楽しむためには、どんなレベルや内容であってもいいので自分が学びたいことを学ぶのが必要だということを忘れずに進学するといいと思います。
私は、コンピュータを使った経済分析手法の研究をしています。コンピュータは、データの管理や情報の処理に関しては人間よりも優れていますが、知識や知恵を生み出す過程になると人間の方が今のところ勝っています。コンピュータをうまく使いデータや情報を処理することを通じて知識や知恵をつけ、一緒に豊かな社会経済を築いていきましょう。
金融というと、株式等への投資によって儲けるためのテクニックを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、大学で金融論を学ぶ際は、地域や日本の経済を活性化させるためのお金の流れや、物価等を安定させるための金融調節といったより広い視野を持つこととなります。また、金融は、刻々と動いていますので、現実と関連づけながら学ぶことを心がけて下さい。
大学は、誰も考えたことがない「なぜ?」を各自が自由に追求する場です。その活動の過程では、精一杯考え、たくさん失敗し、多くのことを学び、社会に出てから自分が誰か・何かの役に立つための知識や技術を修得し、生涯の友人もできるでしょう。そして、もしもあなたが人や社会に関心があるのなら、経済学部でともに考え活動しましょう。
先進国、開発途上国問わず、その国が抱える問題は多岐にわたり、課題解決のための有効な政策立案が求められています。開発経済学は、経済学のツールを用いて、開発途上国の経済発展のメカニズムや開発途上国が直面する貧困や開発の問題を分析する学問です。世界の国々がどのような課題を抱えているか、その課題解決のためにどのような方法があるのかを、経済学の体系立てられた思考法に基づいて一緒に勉強していきましょう。
経済学は、私たちが生きている世界を理解するためのツールですが、それは同時にこの世界をよりよく変えるためのツールでもあります。農業経済学を学んで、持続可能な社会への移行について、いっしょに考えてみませんか。私たち一人ひとりの行動が未来をつくります。
労働経済学は、働く人々が能力を発揮して幸せに働ける仕組みを考える学問です。学生の皆さんにも卒業後、仕事にやりがいを持って、仕事を通じて成長してほしいと願っています。労働経済学の講義や演習では、皆さんが卒業後のキャリアを考え、そのために学生時代にできることを考える機会が提供できれば嬉しいです。
皆さんには技術と科学を学んでほしいと考えています。技術とは外から与えられた目的を達成するための手段や知識のことで、具体的にはコミュニケーションのための英語やデータ処理のための統計ソフトなどです。一方で科学とはそれ自身の内的な目的をもった知識の体系です。高校で習う科学の知識はある種断片的なものでしたが、大学ではそれらを体系的に学びます。技術も科学も、勉強すると結構楽しくなってくるものです。
大学時代は、それ以後の人生の土台を作る大切な時期です。専攻する学問領域のみならず様々なことに関心を持ち、失敗を恐れず「やってみたい」と思うことに挑戦して下さい。またジャンルを問わず、たくさん本を読んでほしいと思います。
読書することは、自分と自分が生きる社会や時代を見つめて、冷静に考える良い契機になります。充実した学生生活を送って下さい。
旅行や調査で多くの国を訪れると、行く国ごとに文化・宗教・政治・経済、住む人々の考え方の異なりに驚くことが少なくありません。四年間の大学生活は長いようであっという間です。その中で様々な体験をして、多くの「なぜ?」を経験してほしいと思います。そして、その「なぜ?」に1つの答えを与えてくれるのが、学問です。是非、経験と勉強したことが噛み合った時の目の前がパーッと開ける瞬間をたくさん経験してください。
リーマンショックや欧州債務危機など、経済に関する報道をよく見かけますが、国際金融の理論やマーケットの知識がないと、こうしたニュースを理解するのは難しいでしょう。これらの勉強は、とっつきにくいかもしれませんが、授業を受けてみると、おもしろさが分かり、世の中の動きを理解できるようになります。
学生時代は、さまざまな勉強や体験を通じて、人としての幅を広げてください。
大学では高校までのような学習以外にも、自分の学んだことを文章や口頭で他人に伝えることを訓練できる機会が多くあります。そういった機会を十分に活用して下さい。
イギリスの名宰相、ウィンストン・チャーチルは「我々は得ることで生計を立て、与えることで人生を作る」という名言を残しています。たしかに「得ること」は大切ですが、それは生きるための手段に過ぎません。大学では、複雑な社会の仕組みを学び、自分が何を社会に貢献でき、何を人に与えられるのか、じっくり考えてください。
いまこの年齢になってみると、大学や職場の記憶は、その科目や業務の内容よりも、むしろその場での自他の態度や反省のしかたに関わるものが多いように感じます。つまり、大学で勉強するテーマも、鏡のようなものの1つといえます。あまり長時間でなくても、ちゃんと向き合って、自分やほかの人のいろいろな像を映してみましょう。それらは、直接的な知識や成果よりも、長くみなさんの記憶にとどまって熟成してゆくはずです。
私の学生生活は、正に「time flies like an arrow(光陰矢の如し)」でした。勉強の成果は今一つでしたが、腹心の友を得られたことは、非常に大きな成果でした。皆さんも時間を大切にしながら、大学生活をenjoyしてください。余談ですが、今の私は「少年老い易く学成り難し」を日々実感しています。